さんしゅみ

創造的・能動的・受動的の3種類の趣味で人間は幸福を感じられるらしいとか

さらば両さん!40年の総決算『こち亀展』に行ってきた

※今回掲載している写真は、すべて撮影OK展示のものです。

2016年9月17日、日本の漫画史上最強最悪の警官の物語が幕を下ろした。40年間という途方も無い期間、人々に笑いと涙とタメになったりならなかったりした知識を植え付けてくれた両さんの新作が見れなくなったのだ。これから一生両さんの姿を見れなくなるわけではないだろうし、たまには特別編という形で戻ってくるとも考えられる。けど、ジャンプをめくれば当たり前のように部長に怒られ、しょうもない事をやっていたあの警官がいないのである。それだけでとてつもなく虚無感というか寂しいという気持ちがある程、両さんという存在は偉大だった。こち亀という存在がかけがえのないものだったのである。ありがとう両さん。ありがとう秋本先生。

こち亀と自分

自分にとって、こち亀は一種の憧れだったと思います。子供の頃から何かと知識を入れたい欲求に支配されていた時期にこち亀という情報量の濃い媒体はとても刺激になり、全巻とは言えなくとも100巻以上は手元に置いてある状態で少年時代を過ごし、両さんという全方位に興味を持って熱く語り、時には自分の知りもしない昔の事をしみじみと語り出す一人のおじさんに尊敬していたと思います。

そこから様々な興味の分散があってもこち亀の存在は大きく、定期的に単行本を購入していました。40週年かぁなんて思っていたら終了。これには驚いた。そうか、両さんにも有給休暇をあげないといけないか。なら仕方ないや。40年間頑張ったもんね。普通のサラリーマンなら定年ですよ。

東京 日本橋開催のこち亀展へ

最終巻とジャンプを購入して何やら日本橋タカシマヤでこち亀展なるものをやっているらしい。なら行くしかないな。冗談でもいいから両さんにありがとうを伝えたい。

まずは日本橋タカシマヤに向かおう。ふと気になったが、公式サイトなども漢字の高島屋表記ではなく、カタカナのタカシマヤと表記されているがいつからこの表記なんだろう…。東京駅の八重洲北口から15分程、地下鉄日本橋駅からならすぐだ。8階の催事場ホールまで上がったところに両さんはいた。

こち亀関連の展示では定番とも言える派出所のセット。流石に内装は省かれていた。

もはや様式美と言われてもおかしくない両さんが散々な目に合うオチ。これ以上の数があるんじゃないかと思うけどこれだけでもすごい数…。

まさかの日暮専用コーナー。初期の方はニコニコ寮の自室にアマゾンを生成して食虫植物に食べられそうになっているパターンだったが、後期になると行方不明からの中川グループ総動員の捜索体制が取られていく。毎回アマゾンじゃ飽きるか。

両さんといえば金。金に一喜一憂するのがなんとも愛おしい。結局の儲けてるの?損しているの?正解は火を見るより明らか。-1663兆って何に例えていいのか分からないレベルの負債。ちょっと調べると日本国民の個人資産が1600兆円程らしく、両さん一人で日本国民の個人資産がスッカラカンになるレベル

現実に両さんが居なくて良かったような良くなかったような…。全話の収益損益が集計されているのかと思ったら一番最初は3巻になっていた。あれ、1巻1話でドンケツシンボリーでスッた特券10枚分(-10万円)は?表記されていないだけで集計はされているのか?

撮影不可コーナーの展示

驚いたのがおおよそ半分は原画コーナーとなっており、大量の名作原画、単行本の表紙等で使用された彩色済み原稿をこの目で見れたこと。映像展示も興味深く、表紙などでよく用いられる葛飾区墨田区台東区近辺の名所、何気ない路地の風景との比較映像展示などもあり、聖地巡礼のような体験を行うことができる。ましてや秋元先生の私物であるマニアック作画資料やデジモノも展示されていた。ツインカムの実物なんて初めて見た…。

他にも濃い展示はあり、両さんの子供の頃の思い出名作となる、あの可動橋や、例の煙突の物語、原画だけでは無い特別展示もありますよ。そして神田明神の遷座400年記念企画の記念絵巻の実物。こち亀の、日本の近代文化はこの絵巻に詰まっているとも感じられます。

過去から現在までの文化、風俗を漫画で表現される時代になるとは。この絵巻の現物を見る機会はこち亀展以降だと難しいのではないでしょうか。そして最後は秋本先生から特別な展示が。こちらは是非とも自分の目で確認してみてください。こち亀はかくもこうあるべきを体現した展示です。

通してみても秋本先生の知識欲は改めてすごい。これほど長い期間、興味が尽きること無く最新のネタを用いて漫画を描き、かつ古き良き下町の原風景や両さんをはじめとする警察関係、地元の悪友、浅草一郎としての寿司屋人生、それらの関わりが決して不自然じゃない、どうしようもないクズなんだけど愛される人を表現しつづけるのは並大抵の事じゃないです。両さんをこれ程書き続けてきた事に感謝が尽きません。

日本橋タカシマヤでのこち亀展は2016年9月26日までの会期で終了。2016年12月からは大阪にて開催していました。

あとがき

このバカをまたいつか見れたらいいな。

こち亀.com|集英社 こちら葛飾区亀有公園前派出所公式サイト

こち亀.comのこち亀展特設ページについては既に消滅済みの模様です。

こち亀関連の情報を調べたい時に長年活用させて頂いたこちらのサイトも便利です。詳しい方は読んでるだけでその時の絵が出てくるはず。

こち亀データベース

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