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『君の名は。』に見る新海誠監督の過去作品と今作の関係性【ネタバレ注意】

シン・ゴジラ』フィーバーから冷めやらぬ8月26日。

いよいよ3年振りとなる新海誠監督の新作映画『君の名は。』が公開された。

新海誠監督と言えば『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』、『雲のむこう、約束の場所』といった美細な背景美術や少年と少女の恋愛をテーマとして評価の高い映画作品を送り出してきたアニメ映画監督。初期作品については公開当時、ネットを中心に話題になり、『秒速5センチメートル』では単館系劇場での公開にもかかわらず、半年以上の公開というロングラン上映。映画公開後にアメリカでのビデオグラム化、放映権が発表されるという珍しい作品になった。

 そして満を持して公開となった今作。今までの作品を見たことがある人にとって、ある意味「裏切られた!」と思う人も多いと思う。そんな今作の特徴を過去作も含めて記してみる。【ネタバレ注意】

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映画『君の名は。』公式サイト

 

新海誠作品と言えば綺麗な背景美術、少年少女の恋愛模様、そして無くてならないのは「SF要素」と個人的には思っている。新海誠監督作品(2002年の『ほしのこえ』から)のうち、劇場公開作品は年代順に以下のようになっている。

星を追う子どもについては他の作品と比較してファンタジー色が強く、監督自身も「日本のアニメの伝統的な作り方で完成させてみる」といった意気込みで作成した作品となっており、単純に比較するのはお門違いだと考える。

それ以外の作品については監督の持ち味ともなっている少年少女の恋愛模様を主軸においているが、『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』において注目するべきは「SF要素」が含まれた作品では決して無いことだ。

秒速5センチメートル』では高校生である主人公が親の仕事の都合で種子島に移住することになっており、種子島宇宙センターから発射されるロケットの輸送シーンや発射シーンが描かれているが、あくまで「現実の1コマ」としてのSF要素である。

言の葉の庭』では幻想的な風景こそあれどSF要素に近いものは無いと思われる。

そのことを考えると今作『君の名は。』は『雲のむこう、約束の場所』の2004年以来、これぞ新海誠作品と言われる潮流の中ではかなり久々のSF要素が存分に含まれた作品であると思われる。

それがあるこそ、歴代の新海作品を見ていた人にとってストーリーに泣き、そして少年少女の恋愛模様からの隕石墜落という絶望に落とされた展開に泣き、初期作品で影響を受けた人にとって、「待っていました」と言わんばかりのSF要素に泣く。まさに泣きづくしの作品となっている。

公開前の期待についても過去作に比べると桁違いに異なり、『言の葉の庭』の興行収入1億5000万円(推定)のところ、『君の名は。』公開3日間で12億円、8日間では27億1200万円と現時点で前作の18倍以上を叩きだしており、配給の東宝も監督の次回作に弾みをつけてくれるであろう。

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新海監督がSF要素を意図的に封じ込めていたのか、それかいい意味での裏切りを行うために一時的に力をためていたのか定かではないが、今後も一ファンとして目が離せないアニメ監督であることは間違いない。

2016年夏は映画界にとって話題作が立て続けに公開するいい流れとなっており、低迷が噂される邦画業界にとって良い流れのキッカケとしてなって欲しいところだ。

 

シン・ゴジラ』との意外な関係について以下の記事が面白かったので最後に是非読んでもらいたい。

www.asagei.com

 

(9/5追記)

このエントリで過去作品について気になった関東近郊の方は9/10~16にかけて目黒シネマに是非足を運んで欲しい。『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』の3作を映画館で一気に楽しむことができる。

www.okura-movie.co.jp